事後検定(Post-hoc test)は、ANOVAやKruskal-Wallis検定で「群間のどこかに有意な差がある」とわかった後に、「具体的にどの群とどの群の間に差があるのか」を特定するための手法です。ANOVAは全体として差があるかどうかを検定しますが、個別の群間比較は行いません。事後検定はこの「犯人捜し」の役割を担います。
族単位のエラー率(FWER)を制御する
4群あれば6通り、5群あれば10通りの群間比較が必要になります。単純にt検定を繰り返すとタイプIエラー(偽陽性)が蓄積し、実際には差がないのに「差がある」と誤判定する確率が跳ね上がります。事後検定は、すべての比較を通じてタイプIエラーの全体的な確率(族単位のエラー率、FWER)を制御する仕組みを持っており、信頼性の高い群間比較を実現します。
代表的な事後検定手法
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Tukey HSD(Honestly Significant Difference)
最も広く使われる事後検定です。すべてのペアワイズ比較を一度に行い、FWERを制御します。群のサンプルサイズが等しい場合に最も適しています。
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Bonferroni補正
有意水準を比較回数で割る(例:6回比較なら0.05÷6=0.0083)というシンプルな方法です。保守的(差を見つけにくい)ですが、任意の検定に適用できる汎用性があります。
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Scheffé法
最も保守的な事後検定で、事前に計画されていない比較(事後的な比較)にも対応できます。検出力は低いですが、あらゆる線形対比に適用可能という柔軟性があります。
Qast の EDA 機能では、ANOVAの結果が有意(p < 0.05)だった場合に自動的に事後検定を実行し、どの群間に差があるかを明示します。多重比較の補正も自動で適用されるため、ユーザーは結果の解釈に集中できます。

