Kruskal-Wallis検定は、3つ以上の独立した群の分布に差があるかどうかを検定するノンパラメトリック手法です。一元配置分散分析(ANOVA)が正規性と等分散性を前提とするのに対し、Kruskal-Wallis検定はこれらの前提を必要としません。Mann-Whitney U検定(2群比較)を3群以上に拡張した手法と位置づけることができます。
順位ベースの検定 — ANOVAの順位版
Kruskal-Wallis検定では、まず全群のデータを合わせて順位をつけます。次に、各群の順位合計を比較し、群間で順位に偏りがあるかをH統計量で評価します。H統計量はカイ二乗分布に近似的に従い、p値を計算できます。実際の測定値ではなく順位を使うため、外れ値の影響を受けにくく、分布の形状に関する仮定が不要です。
ANOVAとの使い分け
データが正規分布に従い等分散性が満たされる場合は、ANOVAのほうが高い検出力を持ちます。しかし、以下の場合はKruskal-Wallis検定を選びましょう。(1) 正規性検定(Shapiro-Wilk検定など)で正規性が棄却された場合。(2) 順序尺度のデータ(例:5段階評価)を比較する場合。(3) サンプルサイズが小さく正規性の確認が難しい場合。(4) 外れ値の影響を抑えたい場合。なお、Kruskal-Wallis検定で有意な差が見つかった場合も、「どの群間に差があるか」を特定するには事後検定が必要です。
Qast の EDA 機能では、正規性検定の結果に基づき、ANOVAの前提が満たされない場合はKruskal-Wallis検定に自動で切り替わります。ユーザーは検定手法の選択を気にすることなく、信頼性の高い分析結果を得られます。

