Welchのt検定は、Student のt検定の改良版で、2群の分散が等しくない場合でも正しく平均値の差を検定できる手法です。現実のデータでは、2つの群の分散が完全に等しいことはまれであるため、Welchのt検定のほうがより実用的で安全な選択肢として推奨されています。
等分散を仮定しないメリット
Student のt検定では2群の分散が等しいことを前提としますが、この前提が崩れるとタイプIエラー(実際には差がないのに「差がある」と判定する誤り)の確率が増加します。Welchのt検定は各群の分散を個別に推定し、自由度をWelch-Satterthwaiteの近似式で補正することで、分散が異なる場合でも正確な検定を行います。等分散が成り立つ場合でもStudentのt検定とほぼ同等の検出力を持つため、「迷ったらWelchのt検定」が現代の統計学のベストプラクティスです。
Student のt検定との使い分け
多くの統計学の教科書やソフトウェアでは、まずLevene検定などで等分散性を確認し、等分散ならStudent、そうでなければWelchという手順が紹介されています。しかし近年の統計学では、事前の等分散性検定を省略し、最初からWelchのt検定を使うことが推奨されています。これはWelchのt検定が等分散時にもほとんど検出力を失わず、かつ非等分散時の誤りを防げるためです。
Qast の EDA 機能では、2群の平均値比較にデフォルトでWelchのt検定を採用しています。等分散性の確認も自動で行い、結果レポートに併記されるため、検定の妥当性を簡単に確認できます。

